脂質異常症とは、血液中の脂質、具体的にはコレステロールや中性脂肪が、多過ぎる病気のことです。
血液中にはコレステロール、中性脂肪、リン脂質、遊離脂肪酸の4種類の脂質があります。
通常、血液中の脂肪が異常に増えても自覚症状がないため、放置している方が多くおられます。
脂質異常症を放置すると増えたコレステロールがどんどん血管の壁内にたまって、動脈硬化を引き起こします。
そしてついには、心筋梗塞や脳梗塞の発作を引き起こします。
高脂血症は動脈硬化を促進する大きな危険因子です。
動脈硬化とは、動脈の血管が厚く硬くなり、血管の内側に脂質や細胞などが付着して血管内部が狭くなる症状をいいます。
これを放っておくと、血管の内腔はさらに狭くなって、血液の流れが悪くなり、場合によっては完全に血液の流れが止まり、心筋梗塞や脳梗塞などを引き起こすことになります。
動脈硬化は、このような怖い病気に直結する重要な病変です。
何度も申し上げますが、この恐ろしい動脈硬化の最大の危険因子が高脂血症なのです。
高脂血症は、家族性高コレステロール血症以外、初期には自覚症状がまったくありません。
前述のように早く見つけて早く対処することが非常に重要です。
症状のない病気を早期に発見するにはどうするか、それには無症状のうちから定期的な健康診断で調べてもらうことしかないのです。
高脂血症検査は、普通に行われる健康診断では必ず行いますので、忘れず定期健診を受けましょう。
高脂血症の原因としては、食生活とりわけ食事が大きく影響していると考えられます。
たとえば、動物性脂肪の多い高カロリー食は、血中の悪玉コレステロールや中性脂肪を増やし、過酸化脂質を増加させます。
また、高脂血症は、糖尿病、肥満、運動不足、偏った栄養バランスの食事、アルコールなどを総合的に見直し、予防することが大切です。
少しずつ高脂血症の原因となる生活習慣を改善していくことが大切です。
高脂血症の治療は生活習慣の改善と薬物療法が基本となります。
生活習慣の改善は、血中脂質を下げるだけでなく、動脈硬化が進むのを防ぐことが目的です。
ですから動脈硬化を促進するほかの要素、つまり高血圧、耐糖能異常、肥満なども改善できるよう生活習慣を改善します。
改善の主な内容は、1.禁煙 2.食生活の是正 3.適正体重の維持 4.運動の増加です。
なかでも特に重要なのが食事で、これは適正体重の維持とも深く関わってきます。
食事以外にも改善すべき生活習慣はあります。
まずは禁煙です。
たばこは、動脈硬化だけでなく、肺がん、呼吸器疾患、加齢黄斑変性などの目の病気をおこさないためにもやめるべきです。
次に運動量を増やすことです。
これは、動脈硬化性の病気が潜んでいないかどうかを十分に調べた後に、指導されます。
どうしても生活習慣が改善できない人や生活習慣を改善しても血中脂質の数字が高いまま下がらない場合には、動脈硬化さらに心筋梗塞や脳梗塞へと進む危険性がどんどん高くなりますから、薬物療法も行うことになります。
高脂血症は、遺伝子異常や他の病気に伴って現れるものもありますが、8割以上は前述のとおり多くの生活習慣に関連した原因が重なって発症してきます。
ではその原因は過食、高脂肪食、運動不足などの悪い生活習慣やそれによる肥満があげられます。
つまり、食事にからんだ要因がいちばん多いのです。
そこで高脂血症を防ぐにはまず食事に気を配って食生活を適正に保つことが重要です。
高脂血症を防ぐための食生活では、次の6項目が重要です。
- 偏らず「栄養バランスのよい食事」を心がける。
- 摂取総エネルギー量を抑えて、適正な体重を保つ。
- 飽和脂肪酸(おもに獣肉類の脂肪)よりも不飽和脂肪酸(おもに植物性脂肪や魚の脂)を多く摂る。
- ビタミンやミネラル、食物繊維もしっかりとる。
- 高コレステロールの人は、コレステロールを多く含む食品を控える。
•中性脂肪が高い人は、砂糖や果物などの糖質とお酒を減らす。 など
広尾羽澤内科眼科クリニック
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